私の元には、書いているメディアやこのブログの記事のせいか、主に弱さを抱えた男性を好きになって苦しむ女性からの相談が届く。
「弱さを抱えた男性」というのは普通の人より厄介で、それは自信のなさから女性の愛情を試したり、傷つくことを恐れて先に愛されることばかり考えたりと、とにかく真っ直ぐな感情のやり取りができないからだ。
素直に愛したい、愛されたいと願う女性にとって、自分の気持ちをそのまま受け止めてもらえない悲しみというのは、絶望感すらある。
それでも、好きだから離れられない。
好きだから諦めきれない。
幸せになりたい。
痛めつけられてボロボロになった心でも、やはり「愛したい」が先にくる女性は強い。そこには相手に左右されない芯があって、何度でも手を伸ばそうとする勇気がある。
私自身を含めて思うのは、弱い男性を好きになったのなら、相手を「どこまで許せるか」が自分を大切にするために必要な線引きになる。
弱くなってしまった「理由」は必ずある

ちょっと喧嘩すれば、すぐ「別れようか?」と「脅迫」してくるのはなぜなのか。
かたくなに「好きだ」と口にすることを避けるのはなぜなのか。
先に愛されないと自分からは好きになれないのはなぜなのか。
すべて、「愛されない自分」しか知らないからだ。
一度でも、愛する女性とまっとうに気持ちを交わしたことがあれば、こうはならない。
「成功体験」がない、というのは、特に恋愛において男性の自信を奪う。これまで、どんなに頑張っても最後は受け入れてもらえなかった自分しか残っていないから、どんどんコミュニケーションの取り方がおかしくなってくる。
最初からこうであるはずがない。
これを、忘れてはいけないと思う。
誰だって愛されたい気持ちは同じ。そして、最初は同じく誰だって愛する人のために頑張るのだ。でも、報われなかった。フェードアウトされたり、拒否されたり、恥をかいて惨めな思いばかりが最後には残る。そんな経験が続けば、恐ろしくなるのは当然だ。
だから、心のどこかで「今度も」という思いがある。
今度もきっと上手くいかないだろう。
今度も自分は最後は捨てられるのだろう。
あんな思いをするのはごめんだ。
だから、試さずにはいられない。「こんな俺でも大丈夫?」と相手にすがらずにはいられない。愛する喜びの前に、あまりにも不安のほうが大きすぎて、素直になることができない。
それが最大の弱さなのだ。
素直になっても、心を開いても、どうせ最後は捨てられる自分しか、彼の中には見えていない。
何度も何度も、本当は彼女に隠れて努力しようとした。愛情を伝えて、彼女からも「愛してる」と笑顔で答えてもらう瞬間を夢見た。それでも、その努力すら、相手には届かない。
中途半端に、傷を受けないように気をつけながら相手と接したって、愛情が簡単に伝わるはずがない。相手より自分を優先しながら愛したって、そんな恐る恐る伸ばした手を想像通りに掴んでくれることなんて、実際は少ないのだ。
どこまでも、自分を守ることを止められない。それは、こちらから見れば自己愛の塊に見えるが、男性にとっては「こうでないと愛せない」こともまた事実。
「愛されない自分」しか知らない期間が長ければ長いほど、新しい愛情は男性にとって重荷になる。「またあんな思いをするのか」と腰が引ける。
これを、許せるかどうか。
彼の中にある「愛されない自分」をうち壊すには、相当の精神力と時間が必要になる。彼に愛されたいと思えば、自分の願い通りに愛してもらいたいと思うなら、辛抱強く相手にしていくしかない。
傷つけられる度に、「あぁこの人はいま苦しいんだな」と彼の「愛されたい衝動」に向き合わないといけない。
試される度に、「そんなことしなくても大丈夫だよ」と「追いかけて欲しい衝動」に付き合わないといけない。
どうしても女性のほうが折れることになる。男性の弱さを受け止め、理解して、「痛みがなくても愛し合える」ことを教えていかないといけない。
途方もないタフさが必要になるんだろうな、と思う。
「自己責任」はお互いさま

恋愛はどこまでも自己責任であって、本当は「好きになったほうの負け」とか「より愛されているほうが勝ち」とか、そんな位置はない。
ふたりの関係に順位をつけたがるのは、怖いから。
結局、「自分ばかりが相手を好きで、相手からも同じように愛されていないのが怖い」から、勝ち負けを持ち出して自分を守るのだ。
なら、さっさと止めればいい。負けるのが悔しいなら手放してしまえばいい。簡単なこと。
それが出来ないのは、純粋に相手を愛する気持ちがあるからだ。
どんな目に遭っても、泣いて苦しんで絶望して、もう二度と立ち直れないと思っても、それを超える愛情を抱えているから、離れることができない。
純粋だからこそ、自分でも意識できない。「でもこんないいとこもあるんだよね」って口で言えるような部分じゃない。
もっと奥の、人間として受け入れている場所。それは何気ない瞬間に浮かんでくる笑顔とか、不意に発した言葉とか、彼自身に宿る「優しさ」の部分。そういうものは必ずある。
無意識に、それを信じている。
好きな気持ちは理屈じゃない。「止めればいいのに」で止められるほど単純じゃないから、いざ人に言われるとカチンとくるのが真実。そしてそれが正しいと私は思う。
自己責任であることさえ忘れなければ、「どこまで許せるか」は決まってくる。
「今この瞬間を選んでいるのは私自身」という自負。惨めになるのも、めまいがするほど涙がでるのも、相手のせいじゃなくて本当は自分で選んだ結果なのだと、腹をくくる勇気がいる。
相手を恨んでも仕方ない。「こうでしかいられない」のもまたお互いさまであって、それも自己責任。相手の態度や言葉や振る舞いは、こちらで決めることはできない。
変わって欲しいといくら願っても、まともに愛し合いたいとどれだけ望んでも、相手が同じ気持ちでない限り、叶うことはない。
彼自身が「愛したい」とみずから望まない限り、不毛なつながりはずっと続くのだ。それが紛れもない現実。
だから、「これ以上は許せない」線引きは、自分で決める。本来は、相手を本気で愛せば愛すほど、そのラインは自然と出来上がる。
他人を愛することは、つまり自分を愛すること。
自分を愛せない人が他人を愛せないのは真理。誰かを好きになるならその自分を好きにならないといけない。
好きな自分を、どこまで痛みにさらせるか。
大好きな自分を、どこまでまともに愛されない苦しみに立ち向かわせるか。
愛する男性のために。
弱さを抱える男性を好きになって苦しむ女性は、総じて自分を大切にしている。
苦しいのは、傷つけられる自分に耐えられないからだ。どうでもいいなら、悩むことも誰かに打ち明けることもない。
何とかしたいと願うから人に助けを求める。それが正常な姿であって、本当は「こんな私だから愛されないんですよね」とか「もっと強くならないといけないんですよね」とか「私さえ変われば彼も受け入れてくれるんですよね」とか、思う必要などまったくないのだ。
あなたはそのままでいい。
彼のために変わったって、それが自分のためでなかったら続かない。彼がそんなあなたすらはねつけたら、あなたの愛情は行き場を失う。
「彼のために」しなければいけないことなど、何もない。あなたにできることは、ただ彼を愛することと、同じくらい自分を愛することだけ。
恋愛は自己責任。「どこまで許せるか」は自動的にあなたの中に出来上がる。
そのラインを超えたら、心が愛情にけじめをつけようとするから。
彼を愛するからこそ、自分をないがしろにできない瞬間は来る。そこで別れを選ぶのは、どんなに悲しくても自分のためなんだときっと了解できるから。
それまでは、全力で愛せばいい。
あなたはそのままでいい。
彼に愛されないからダメな自分だとか、こんな男を愛する自分はどうしようもない女だとか、どうして別れられないだろうとか、そんなくだらない悩みは捨ててください。
悩む分、本当はあなたがあなたを愛してあげている。
彼の不安定な愛情に苦しむのは、まともな自分でありたいと願うから。そしてそんな自分が、彼に何の影響も与えないなんて思わないこと。
愛情は理屈じゃない。彼はあなたの気持ちを受け取ることに怯えながら、少しずつ「愛されてもいい自分」を目にすることになる。
試して気持ちの良いはずがない。追わせて楽しいはずがない。
口が裂けても自分では言えないけど、一番傷ついているのは彼自身なんです。
そうなってしまう理由が必ずあるなら、乗り越えることもできるはず。私はそう思う。
向き合いたいと、自己責任で思ううちは、どうか全力で彼を愛してあげてください。
あなたはそのままでいい。
まさに、今、こんな彼との渦中にいます。
離れるのかまだ一緒にやって行くか…
曖昧な関係が一年続きました。何度か離れようとしました。
最近、本当に離れようと決断し、それから彼の胸のうちを少しずつ話し始めました。
相手はこの文章のそのまま。今までの彼女とは裏切られてばかり…なので、私と付き合うと別れがやってくるから付き合わないと。都合のいいいい回しかとも悩みました。
近々、真剣に話し合うと決めました。
なぁなぁにしたら、もう戻らないと。
どうしていけばいいのか、まだまだ模索中です。
相談出来たら楽になれるのかとも。。
マリさん
こんばんは!
コメントありがとうございます< (_ _)>
返信が遅くなってしまい、ごめんなさい!
男性の弱さって、なかなか女性には理解しづらいところもありますよね。
逆に男性も女性の苛立ちや虚しさには疎いし。
自信のない男性ほど、相手を試さないと気が済まないんです。
いつまでついてこれるか、捨てられても「ほら見ろ」と言える後ろ向きな覚悟ばかりで。
でも、それに無理して付き合うことはないと思うんですよ、だって彼を選ぶのも選ばないのもマリさんの自由なので。
もっと普通にお付き合いできる男性はほかにもいるんです。
でも、上の記事にも書きましたが、彼のために何かしてあげることはありません。
相手が心を開かない限り、何をしても無駄です。自分が消耗するだけです。
彼のためではなく、自分のために、彼を愛してあげてくださいね。
彼のせいにしないこと。自分のすることに自分で責任を持つこと。
その覚悟があれば、別れが決まったときもきちんと受け入れることができると思います。
話し合い、なんとか進むと良いですね。
彼のほうはなかなか本音を言いづらいと思いますが、気長に待ってあげてください。
マリさんが、どうか幸せな恋をできますように。
かおり様
ご返信を頂けるとは思いませんでした。全然気付かず返信が遅くなってしまいました。
かおり様の記事を全て何度も読んでいます。
彼とは私がバツイチ子持ちで、付き合う気にはなれない相手なんだとつくづく思う結果になりました。年齢差もかなりあります。
でも、一緒に居ることが楽しいと時間は作ってはくれます。色々なことがありすぎて書ききれませんが、好きとは言っても付き合うことにはなりません。決め手に欠けるのでしょう。
離れようとすれば追いかけますが、そんなことを繰り返し、付き合わない気持ちも受け入れ、今後どうするかも、かおり様が言うように相手が心を
を開かない限りは無理なんだと諦め、適度な距離を保とうかと思っています。
好きですが、会えばその後苦しい自分も居ます。辛いと感じるなら、やはり好きでも離れるべきなのでしょうか?
今は付き合う気持ちにもなれないし、今後はそういう気持ちになる時もくるかと思うと言われ、他の人に行ってしまえば寂しいけど俺に止める権利はない。と。楽しくしてたら…と望みを抱く自分が嫌です。楽しければいいと言う自分も居ますが、安心した付き合いがしたいと思う自分も確かにいます。
自己責任を取る。今苦しんでるのも自己責任だと思っています。もっと現実を受け入れられる自分が欲しいです。
突然おじゃまして。
あまりに境遇が似ていて私と同じ思いを抱いていらして読んでて泣きそうになりました。
バツイチ、付き合えない、なんとか消化して距離感を持ってと自分で決めて‥会えるけどその後辛くて。
びっくりしました。
ここに辿り着いて一気に読みました。
私もマリさんと同じです。
付き合えない‥終わりになるとか、今なにしてるんだろうとかいう気持ちが強くて付き合えないと別れを告げられて2年。
離れようとしても顔を見たら連絡をしてしまいます。
会うと別れが辛くて会わなきゃよかったと思うこともあります。
友達なんて彼からしたら都合いい言い方だともわかってます。
悩みに悩んで答えが出なくて苦しいです。
グレーゾーンもいいのかもしれないけど、疲れている私もいます。
今までに読んだどんな本や詩やブログよりも深く刺さりました。
何度も何度も、これ以上は無理。って思うのに、それでもまだずっと愛してしまう自分と変わってくれない相手を嫌に思ってしまっていました。
でも、かおりさんの文を読んで、愛し続けようと思いました。
弱さからほかの女性を一時的に求めたり、駆け引きされたりしていることを知っていても私は愛し続けられるように。
相手も私を愛してくれていることはわかっているのに、言葉と行動が伴っていないと責めたり、相手を忘れるために他の人と付き合ってみたこともありましたが、私自身が相手から離れて、別の人を心の底から愛せるようになるまで、今、愛している人を想い続けようと思えました。
ありがとうございます。
もっと早くにこの記事を読みたかったです。心にしみます。モテる人でも不安なんでしょうか。喧嘩するとすぐに別れるという彼は弱かったのでしょうか。何度も言われると、私が受け入れたら終わるんだろうなと考えてしまい、必死で引き止めてました。そう言われる度に自信を無くしてました。もう、無理だって疲れてしまい、結果受け入れたら終わりました。今となってはどうしようもないですが、それでももう少し、愛せばよかったと思ってしまいます。
参考になりました。
自分のために彼を愛する。
私はどこまでも彼を許す事が出来るのですが…
それでご縁がなくなってもそれで良いのだと
これが私の愛し方なので
私は私のままで良いと今は思ってます。
良い記事をありがとうございました。