
「男のほうが未練を引きずる」とよく言うが、本当にそうなのだろうか。
そもそも、どうして別れたのに未練なんて意味のないものを抱えてしまうのか。
男女関係なく、別れたあとも相手を忘れられないという人は大勢いるが、そこにはたいてい大きな後悔があるからだ。
あのとき、もっと優しくしていれば。
どうしてあんなひどい言葉を吐いてしまったのだろう。
今なら、あのときのような態度は取らないのに。
こんな「覆水盆に返らず」を考えついては、自分の未熟さを反省して相手への申し訳なさでいっぱいになる。
特に男性は、女性ほど積極的に愛情表現を重ねていく人は少なくて、「好き」と口にすることすら避けたり、彼女のために奔走することがなく、その分「やり残した」感は一層深いだろう。
自分に自信のない男性ほど、恋で「受け身」になる。
女性からの気持ちを受け止めることだって、確かに大きな愛情だと思う。むしろ男性はそこに命をかけている。
でも、女性からの行動が当たり前になると、自分から動くことをしなくなる。
応えることで満足してしまうと、与える側に回ることを忘れるのだ。
彼女からの思いを感じていても、どこかで不安がある。こんな自分、本当に愛されているのかな、と。
何かヘマをすれば捨てられる。こんな自信のない自分、見抜かれたら別れられる。
だから動けない。与えられるのを待つ。それが彼女の愛を確かめられるただひとつのやり方であって、もし自分が何かして気に入ってもらえなかったら、と思うと怖くて何もできない。
そうして、関係がつまづいたとき、与えることに不慣れな男性は女性が求めているものを理解できなくなる。
つまり、女性を愛しているとみずから伝えようとする姿。
関係が悪化したとき、女性が見たいのは自分の気持ちに応えてくれるいつもの姿ではなく、男性から思いを伝えてくれること。
お前を愛しているんだと、別れたくないんだと、自分をつかまえようとしてくれる姿こそ、女性が本当に見たいものなのに、今までそれをしてこなかった男性にはわからないのだ。
彼女の怒りや悲しみに怯え、混乱し、最後は突き放す。
どうすれば良いかわからないから、自分を守ることで精一杯になる。
で、捨てられる。
俺は彼女のことが好きなのに、どうしてわかってもらえないんだ。わかろうとしない彼女のほうが悪いんだ。俺は俺なりにやってきた。
こんな言い訳がたくさん生まれる。
が。
そこから先に進めない。
付き合っている間、それこそ自分なりに一生懸命男性と向き合ってきた女性は、別れてもまた次の恋愛を考えることができる。
恋愛の可能性を諦めることがない。それは、能動的に愛せる自分を知っているから、新しい相手ともやっていけるであろうことを本能で悟っているからだ。
一方、男性のほうはそうはいかない。
愛されることばかり心を砕いていたから、いざひとりになるとほかの女性とどう関わっていけば良いか、やり方が思いつかない。
積極的に愛していく姿勢を持ってこなかった上に、一人ひとり個性の違う人間、以前の彼女に通用していたことが次の人にも通じるとは限らない。
自信がないまま別れてしまい、自信がないまま新しい女性と恋をしようとしても、そう都合良くはいかないのだ。
何も変わっていないから。
で、結局「元カノ」を忘れられなくなる。
ひとりぼっちになると、元カノのありがたみがよくわかる。自分のためにあれこれと尽くしてくれていたこと。いつも気遣いがあったこと。
自分は大切にされていたこと。
そしてやっと気がつくのだ。どれだけ愛されていたか。自分の態度が傲慢に見えていたか。
渦中にいるころは当たり前だったことが、泡が消えるととてつもなく大きかったと知る。
男性の未練はここから生まれる。
彼女ほど、自分を愛してくれた人はいない。
これを実感して初めて、男性は恋と向き合えるようになる。
愛の対象が近いと、冷静でいられないという人は多いだろう。
神経が過敏になって、相手の一挙一動に反応して、そこにいちいち意味を求めてしまい、自分の思い通りでないと大きく落胆する。
一種の自意識過剰なんだろうけど、とにかく「与えられる側」でありたいのだ。渦中にいるときは。
そうやって愛される自分を感じていたい。求めることは怖いから、その分相手が自分のことをどう思っているかばかり気が向いてしまう。
与えることの大切さを忘れる。
愛していた人と別れてやっと、自分を取り戻すことができる。
女性の場合は、愛に終わりをつけて離れていく。
男性の場合は今から始まったといっても過言ではない。
そんな男性たちを見ていて思うのは、「一人相撲」が好きなんだなぁ、ということ。
自分が抱える恋愛の中に、相手の女性がいない。
常に中心は自分であり、自分の満足が最優先であり、女性は「愛する対象」というより「自分のことが好きかどうか」で存在の価値が決まる。
自分を愛してくれるなら好きになってもいいし、そうでないなら自分から愛することはしない。
みずから愛するなんて気持ちは、アイドルに対する思いと似ている。
一方通行で済む愛情。返されないことが当然だから、好きなように愛せるし、また見返りも求めなくて済む。
傷つくことがない。だから、愛するだけで満足することができる。
ところがリアルは違う。
現実の女性は、自分に傷を与える。リアクションがあるから、振る舞いを間違えたら責められる。
お前は無価値だと突きつけられる。
それが怖い。
別れないとこの「一人相撲」から抜け出せないのは、リアルでひとりの人間と向き合うのが怖いという、それだけの理由なんだと思う。
自分で自分のことを理解していない。本当は価値のない人間など絶対にいないのに、そのままの自分では愛されないという諦めが心に根を張っている。
常に自分を守ることが、脆いプライドを守る唯一の方法。
決して相手の女性を傷つけたいわけじゃない。
楽しい関係のほうが良いに決まってる。
でも、自信がないから。今まで上手くいった体験が、記憶が、自分にはないから。
「ダメな自分」しか知らないから、上手くいく関わり方がわからないし、受ける傷の大きさに怯える。
こういう男性は、いろんな女性に「未練」を持っている。どれも成就しないまま、指をくわえて見ているしかない幻想のようなものだけど、男性は動き方を知らない。
「未練」からやっと恋と向き合える、という男性は多い。
そして怯えを捨てきれないままやっぱりやり方を間違えて、本当に欲しいものはいつまで経っても手に入らない。
それもひとつの現実であって、男性自身が一歩自分を変えたいと踏み出す勇気を持たない限り、その孤独も続くのだ。
■ 「自分なんて愛されなくて当然」という人が本当に失っていくもの
今の私にとって心響きました。
男性側の心理が分かりやすく文章になっており、男女関係は本当に難しいと思いました。男性は見た目と違う優しいピュアな心を産まれながら持っているのだと理解でき人生の勉強になりました。ありがとうございました。
男がいかに愚かで傲慢で、愛す価値のない生き物であるかということがよくわかりました。
自分に自信がないのなら、なぜ愛する女性のために頑張れないのですか?そんなに努力したくないですか?男性って、本当に傲慢ですね。与えられることを望むのに、自分は一切与えず、ひとかけらの努力もしたくない。男一人の稼ぎじゃ生活できない時代です。子供を命がけで出産し、家事子育てをしながら正社員としてフルタイムで働く。結婚への責任が重いのは、現代ではむしろ女性の方です。男の人は、いつ、どこで、頑張るんでしょう。ドラクエのなかだけですか?笑 不思議で仕方ありません。
まさに自分のことで、この記事に出会えてよかったです。
未練が残っている理由がわかりました。
先日お付き合いしていただいていた相手とも会えて、自分の気持ちも伝えて未練までも断ち切ってもらえました。
女性は偉大です。
次の恋愛ではこのことを教訓にしてちゃんと向き合って幸せにできるように頑張れる気がします。
どうしてもお礼が言いたくて、コメントさせていただきました。
ありがとうございました。