先日、と言っても先月のことなんだけど、息子を連れてイオンに行った。
友達に贈る誕生日プレゼントが欲しかったんだけど、Afternoon Teaでのこと。
息子はベビーカーでもあまりグズらなくなって、二人で買い物に行くこともだいぶ慣れてきた様子だった。
おもちゃを持たせて移動している間は、割とおとなしく乗っていてくれる。
が。
何処かお店に入って私が物色しだすと、動きが止まるのが嫌なのか、いきなり泣き出すことがある。
その時もそうで、Afternoon Teaに入ってすぐに、おもちゃを放り出してグズグズ言い出した。
私を救ってくれた店員さんの対応
あ、いかん、と思って一旦外に出て、ちょっとあやして機嫌が良くなった頃にまた店内に戻る。
が、また泣き出す。
おもちゃも駄目、ベビーカーを動かし続けても駄目、買い物の時はこの「泣かれる」ストレスがハンパなくのしかかる。
頼むよこっちもちゃんと選びたいんだよ・・・と思っても息子に分かるはずもなく。
こっちが泣きたくなる。
その時は、オープンしたてで店内もまだ人が少なく、どうしても商品が見たかった私は、グズる息子を何とかあやしながら忙しなく歩いていた。
息子の手の届く範囲に商品も置かれているので、下手に触って落としたりしないように気をつけないといけない。ベビーカーがぶつからないように大きな動きも気をつけないといけない。
店内にいる他のお客さんの目、店員さんの視線、あぁ嫌な客になってるんだろうな、と気持ちは真っ暗だった。
この惨めな敗北感は、せっかくここまで来たのに、という悔しさ。
やりたいことが遂行出来ない虚しさって、子育てではしょっちゅう感じることだけど、こと外出においては人目があるだけに余計つらくなる。
その時は、いつまでも泣きやまない息子にイライラしながら半ばヤケクソで、ベビーカーを対面にしようと店の隅っこ、カウンターの端っこにいた。
レジを設置してあるカウンターの中では、店員さんが忙しそうに手を動かしているのが見える。
あぁ、ごめんなさい、と思いながら、ハンドルをいじっていた時。
「あの」
という女性の声がして、顔を上げると、いつの間にかカウンターの中にいた店員さんがこちらに移動してきていて、私を見ていた。
一瞬、出て行けと言われるのか、と体が固くなった。
が。
「これ、よろしかったら、子どもさんに」
そう言って、店員さんが差し出してくれたのは、猫とくまのぬいぐるみのスタンプが押された小さなカードだった。

思わず受け取ってしまい、それからじわりと、胸が熱くなるのが分かった。
「ありがとうございます!」
と答えると、私より若いであろうセミロングの髪がとても綺麗なその店員さんは、
「子どもさんを連れての買い物って大変ですよね」
とベビーカーから自分を見上げる息子に向かって、笑顔で手を振ってくれた。
息子は、私が手渡された紙に興味を持ったのか必死に手を伸ばしてきて、渡してあげるとそれをじぃっと見て、おとなしくなった。
自分の器の小ささが身にしみる・・・
あ、まだインクが乾いてないかもしれないので、気をつけてください、と話す店員さんを見つめながら、私は猛烈に自分が恥ずかしくなっていた。苛立っている様子が伝わってたんだろうな、うんざりした顔してたんだろうな・・・・そう思うと、情けなくて申し訳なくて、余裕を持てない自分が嫌になる。
そしてそれ以上に、本当に思いがけずこんな気遣いをしてくださったこと、息子のことを気にかけてくださったことが、しみじみと、ありがたいと思った。
一瞬、身を固くしてしまった自分、身構えた自分が情けない。
こんな時、母親として、外出先でもしっかり息子と向き合わないといけないのに、それが出来ない器の小ささが、身にしみる。
結局、息子はいただいた紙をいじりながら泣くこともなく座っていてくれて、私は何とか落ち着いて店内を回ることが出来た。
幸いにも友達の好みに合うものが見つかり、商品を手に取ってすぐレジに向かったんだけど、その時も、他の店員さんも一緒になって息子に話しかけてくれて、私は何度もお礼を言って頭を下げながら、何だか嬉しい気持ちでいっぱいだった。
自分のエゴは自分に返って来る
綺麗にラッピングされた袋を持ってお店を出た後、こんな投げやりで嫌味な態度でお店に入るのはやめよう、と固く心に誓った。
息子がグズるのは仕方のないこと、こちらでコントロール出来ないこと、でもそれで他人に迷惑をかけるのもまた間違っている。
自分のエゴは自分に返って来る。
店員さんの柔軟な対応には本当に頭が下がる、本当にありがたい。でも申し訳なかった。
そして。
帰宅してから、Afternoon Teaのサイトを開き、お問い合わせのページから、今日のことでお礼を書きました。
店員さんの対応に救われたこと。本当に嬉しかったこと。
煩わせてしまって申し訳なかったこと。
息子に渡してくれたカードは、しっかり持ち帰ってきた。
たった一枚のカードだけど、私にとっても息子にとっても、大きな救いだから。
手帳に挟んでいるけど、これを見るたびに、店員さんの心遣いと、自分のエゴを思い出す。
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