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先日、接客業の女性を好きになったという男性が、

「いつか自分が支えてあげたい(頼られたい)」

みたいなことを口にして、一緒にいた人が

「え、客に頼るの?

プロが?」

と素朴な質問をしていた。

サービス業の異性に片思いする人はこんな願いを持つのか、と新鮮だったけど、「お金を払ってくれる客にプロが甘えるかなあ」という疑問は私も持った。

その人は、片思い中の女性と自分は対等な関係だと思いこんでいる。

「個人的なLINEをしてくれる」
「電話で話せる」
「性格を褒めてくれる」

など、自分を気にかけてくれる女性の様子を見て「脈アリかな」と感じているようだった。

「その扱いを受けるのは対価を払っているから」という前提が頭から消えていて、友人関係みたいな身近なつながりだと思っているのだ。

だから「甘えられたい」みたいな欲が出るのだろうけど、たとえば

「恋愛について話題が出たか」
「交際できそうかどうか」
「恋愛感情だとわかるような言葉が出るか」

のような具体的なエピソードを尋ねると、やはり

「今は恋愛には興味がないと言われた」
「過去の恋愛について話題を振ってもはぐらかされる」
「今は付き合えそうな雰囲気じゃない」

などが答えで、こちらから見れば「サービスの範囲内で接客されているだけでは」となる。

結局、突き詰めると

「好きと言われるかどうか」

がシンプルな答えで、サービス業であっても人を好きになることは当然にあるだろうから、愛情をはっきりと伝えてこないのであれば「どれだけ気を引くような言動が相手に見えても、恋愛の対象として選ばれていない」現実を見ないといけない。

最初から対価が存在するつながりは、サービスをする側が受ける側を持ち上げる、気分が良くなるような接し方を心がけるのは当然で、プロだから「顧客の満足」を考えるのだ。

その姿が「恋愛の意味で自分は好かれている」と変換されるのは、やっぱり経験値の低さが原因なのかもな、と思った。

女性と付き合ったことがない、好きだと言われたことがない、アプローチされたことがなければ、相手の振る舞いが「営業か、それとも恋愛感情か」と区別することは難しいだろう。

「自分だったら好きじゃない異性にこんなことはしない」

と気にかけてもらえる自分を肯定するけど、”本当に恋愛感情があるならこんな言葉が出る””好かれているならこんな言動が見える”という裏付けができないのだ。
知らないから。

すべての振る舞いが「立場を超えた恋愛」につながってしまうのは、一心に「異性に好かれる自分」が見たいのだろうな、と感じた。

相手は接客業で外見が美しく性格も良く、いわゆる「高嶺の花」みたいな人だけど、プロだからこそ自分にお金を払ってくれる人は大切にして尽くす。
その姿が、恋愛経験のない男性には「こんな女性に好かれる俺」と舞い上がってしまう。

”一般女性”にはまったく相手にされない自分が、この人からは大事にされている。
この「特別感」が現実を見えなくする。。

それが生まれている理由は何なのか、お金を払うから今の関係を得ることができている、という事実が消え、とにかく「好かれている俺」に執着する。

はたから見ればすごくわかりやすい「嬢とその客」の関係でも、その人にとっては自己肯定感をブチ上げてくれる唯一の女性、になるんだよね。

プロ意識の高い人ほど、相手が自分に対して恋愛感情を持っていることが伝わってきても、上手にそこをぼかしながら接するだろう。
傷つけず、拒絶を見せず、自分の価値を下げることなく「長くお金を払い続けてもらうため」に笑顔を見せるのだ。

「お金を払っているからじゃない」と思いたいのはよくわかる、「俺を受け入れてくれている」と信じたいのもわかる、もちろん人としていい部分があるから大事にしてもらえる。

長く顧客でいてもらいたい、いい意味で「太客」と認められているから、相手のほうから当たり前に動いてくれるのだ。

それでも、

「好きと言われないならそれが答え」

であって、一方的に告白される期待をかけてじぃっと”そのとき”を待っていても、一度も叶ったことがない現実も、見ないといけない。

最初から対等になれない関係で好きになったら、それを変えようとするのは普通の恋愛よりずっと難しい。

「最終的に恋人になりたい」と思いながら「自分はサービスを受ける側」で関係をはじめてしまうと、最初から客としか自分を見ていない相手の気持ちを恋愛感情に変えるのは、相当に大変なのだ。

自分のメンタルや外見などにコストをかけるサービス業の人たちは、それを回収するために顧客との関係を大事にする。
関係を維持するのは「払ってもらうため」だから、という事実をしっかり見れば、「自分は恋愛感情を持たれているか」の前に「そんな目で自分を見ている相手にどうやって好きになってもらうか」を考えるのが必須になる。

利害関係を超えて好かれるためには、そこで勝負できる中身が必ず必要になる。
相手の立場を尊重すればするほど、「それに釣り合う自分」になる努力が欠かせない。

つながりを持つきっかけとしてそのサービスがあったとしても、恋愛をしたいなら「それができる土俵」を選ばないと、対等にはなれない。

「そこじゃないとその人と関われない」事実こそ、最初に変えないといけないんじゃないかな、と。

関係性に甘えて「関心を持たれる自分」ばかり意識していても、相手にとってはいつまでも「いいお客さま」なのだ。

これが現実。

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