製作年 2009年
製作国 英
原題 EXAM
時間 101分
公開日 2010年7月17日(土)公開
監督 スチュアート・ヘイゼルダイン

日本の企業で同じ試験やってくれないカシラ・・・。
なんとかシチュエーションスリラーって宣伝される作品にはいささか食傷気味だったんだけど、パッケージに惹かれて借りてみた。
面白かったよーー!!
殺人マシーンも殺人鬼も登場しない、至ってノーマルなスリラーですが、オチが好き。
ある会社の入社試験に集められた8人。なんたって年収1億もらえる会社、皆一様に緊張してる。
窓のない部屋に武装した警備員が一人の「試験会場」。でっかいタイマーが置かれている。ちょっと圧迫感があるけど、監禁てほどのものじゃない。
人事部の人らしい黒人のオッサンが出てきて、試験についてあれこれ説明する。皆の机には白い用紙と鉛筆が見える。
この「試験」にはルールがあって、
・入口の警備員さんに話しかけたら失格。
・与えられた回答用紙を破損したら失格。
・部屋から出たら失格。
ていうシンプルなものなんだけど、この「ルール」が実はとっても重要で。
で、一通り話し終えたオッサンが皆を見回して、最後に言う。
「質問は一つ、答えは一つだ。何か質問は?」

観終わったあととりあえずこのおっさんのシーンまで戻ったよ。
オッサンが退出して、タイマーがカウントを始める。
ここから、「たった一つの答え」を探して各自の格闘がスタートするんだけど、まず、それぞれに「名前」をつけようと何だか偉そうな白人(ルーク・マブリー)が提案して、適当に特徴だけで考えられた「名前」を持つことになる。
その前に、まぁ答えを間違えたらこうなっちゃうよみたいな感じで一人がさっさと失格になるんだけど、その容赦のない連れだされように一同引いてみたり。
「ホワイト」(ルーク・マブリー)
「ブラック」(チュク・イウジ)
「ブラウン」(ジミ・ミストリー)
「ブロンド」(ナタリー・コックス)
「ダーク」(アダル・ベック)
「ブルネット」(ポリアンナ・マッキントッシュ)
「デフ」(ジョン・ロイド・フィリンガム)
て感じ。
で、そこから皆で協力して考えよーって話になるんだけど、この「ホワイト」が何たって悪い奴で、脅したり騙したりして、次々と他の受験者を「失格」にさせていく。
「ルール」を上手く悪用するんだけど、こいつ賢いよなぁ。
でも、色々やっても全然答えが分からなくて(ここのジタバタは観てると楽しい)、当然人間関係も悪化していって、うまい具合にそれぞれの「素性」が明らかになる。
こういう「腹の探り合い」はまぁしかるべくところに向かう訳だけど、極限状態に陥ったあるメンバーが動き出し、それにつられて皆もそれを手伝い、そして明らかになる、「試験」とはまったく無関係だけど重要な事実。
・・・そんな中、解答用紙が「凶器」になることを思い知らされるシーンがあるんだけど、女相手にそんな拷問かよ!とちょっと痛々しい。
・・・・テメェら、周りでみてるだけかよ!ってツッコんでみたり。
残り時間が少なくなるにつれ、それぞれの持つ人間性(いろんな方向で)が露わになる怖さが味わえる。
「一人だけ生き残れる」とか、生死を賭けたバトルじゃないんだよね。完全に頭脳戦なもんだから、本能むきだしというより、底意地の悪さを目の当たりにするばつの悪さみたいな、嫌な気持ちが湧いてくる。
まさか「紙」で殺しあいなんて始めないよねぇ・・・なんてドキドキしてたけど、当たり前だけどそんな幼稚なオチじゃなくて安心。
で。
病気、薬、という流れから色んな背景が明らかになるんだけど、繋がって受験者それぞれが抱える深刻な「問題」も暴露されて、そらもう皆受かりたくて必死なわけだ、と納得させられた。
あるメンバーが「俺は答えを知ってるんだ」とか言っちゃうもんだから皆動揺して、それを上手く利用して何とか自分だけこの場から逃れようとする。
でも、その「答え」は、私も考えていたことなんだけど、ちょっと安易だよなぁ・・・とか思っていたら案の定で。
このメンバーが暴走を始めるんだけど、そこからのすったもんだがすごく面白い。
「ルール」の重要さ、大切さがコイツのおかげでしみじみと分かる。
いつかこうなるっていう予想はしていたけど、それが意外な流れになって、賢く、冷静に対応したメンバーの一人が、無事に「合格」となる。
ラスト、目まぐるしい伏線の収束にすんごいカタルシスを感じた。
「答えはたった一つ」の意味。
最後がいいんだよねぇ、あの気持ちのいい握手。
きちんと着地点があって、しかもハッピーエンドで。
こういうワンシチュエーションものにありがちな、観客を置き去りにしてひっとり満足みたいなアホな映画とは全然違う。
「CUBE」を思い出すんだけど、違う方向の面白さ。
こういうスリラーならもっと観たい。
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