製作年 2011年
製作国 日本
時間 118分
監督 天願大介

「私の体が役に立つなんて嬉しい」
というクラの言葉で、不覚にも泣いてしまった。
たぶん、自分が吃音症だから引っ掛かったんだろうな。
何たってもー浅丘ルリ子(カユ)が美しすぎて、違和感ありまくり。他のばぁちゃんたちが普通に皺くちゃで白髪ぼっさぼさの中で、ひときわ異彩を放っていた。
倍賞美津子(マサリ)も、何か西洋の魔女みたいな雰囲気。喋り方もおかしいし。「ムラ」の一員だったとはちょっと思えない。
というか、あんたも捨てられたところを拾われたクチなんだよね・・・なっし出ていかんがやろ・・・とかいろいろ考えさせられるんだけどさ。
ボスであるメイ(草笛光子)が、とても100歳とは思えないくらい元気ったら元気。
自分たちを捨てた「ムラ」に復讐することだけを考えているんだけど、その割に「ムラ」での暮らしに執着しているふうもないんだよねぇ。
それこそ、ただ生きる目標にしているだけというか。
どう考えても、その「計画」が成功するとは思えないけどなぁ・・・とハタからみてても思うんだけど、それをクソ真面目に皆が考えているのがね、こうやってすがるものがないと「駄目」になるんだろうな、と納得させられたり。
メイの回想シーンで出てくる春の山がすんごい綺麗で、その中では無心になってしゃぐ彼女を観ながら思った。
今まで「ムラ」という集合体に縛られて、属してきて、散々働かされた挙句に捨てられて、でも彼女にとっては「解放」だったんだろうなぁ。どんなに信心深くても、病気でもないのにお山に捨てられて、そう簡単に死を受け入れられるはずなんてない。
そうして、「生きてやる」という人間の底にある欲望だけが残って、今に繋がったんだろうな。
他のキャラもそれぞれ個性があるんだけど、面白いのは、みんな人の名前をフルネームで呼ぶんだよね。フルネームじゃないと思い出せないみたいな感じで。
狩りに行ってもしゃんしゃん動けないし、でも稲草を編んで草履を作るのは出来たり、「老人」ならではのシーンが多い。
そんな中で唯一、人間に見立てた木にそれぞれ手作りの矢じりやら斧やら持って突進していく「稽古」のシーンだけが異常だった。
「復讐」する意味を、誰も語らないんだけどさ。
中盤からは、戦う相手が「ムラ」じゃなくなるんだけど、今までなかったのが不思議だ。
ここから何故か中途半端なゴアになっちゃうんだけど、まぁ見せたかったのはゴアじゃなくて無力な人間の姿だったんだろうけど、勿論年寄りばっかりで大した抵抗が出来る訳でもなく、ただやられていく姿はやっぱり酷い。
そんな中で最初に書いたクラのセリフがねぇ・・・・・・うぅ orz
ラストは・・・あれは・・・答えは・・・。
まさかカユの考えがそこにあるとは思ってなくて、思わず声を漏らしてしまった。
禁忌はとっくに忘れている。
ただ、これしか思いつかなかった。
復讐なのか。メイの意思なのか。
マサリといいヒカリといい、その「選択」にこそ意味があるのかもしれない。
中盤くらいで、メイが「前世のことは関係ない」って言うシーンがあるんだけど、すんごい良かった。「ムラ」での確執を持ちこむなってことなんだけど、「デンデラ」を大切にしているからこそ、生きると決めたからこそ、「ムラ」での暮らしを「前世」と言い切る彼女の力強さ。
カユにとっては、デンデラは違う場所だったんだけどね・・・。
庄内の雪山、吹雪、寒々しい景色と、背中を丸めて生きる老人たちと、真っ赤に飛び散る血と、カユが最後に吐く言葉。すべて「生」。
・・・・いや、でも、あそこのシーンは「ランボー」かっ?と思ったのは私だけじゃないはず・・・。
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