公開:2005.04.01
原題:달콤한 인생
英題:A Bittersweet Life
監督:キム・ジウン
出演:イ・ビョンホン、キム・ヨンチョル、シン・ミナ、キム・ハレ、エリック

いやいやいや、甘くない甘くない。
とっても痛い。
ビョンホンさんが「これは私の代表作になる」と言っている作品だけど、確かにすんごい頑張ってる(と思う)。
表の顔はあるホテルのラウンジの支配人、裏の顔はボスの右腕として忠実にそちらの「仕事」もこなす、とっても有能な人を演じるんだけど、どちらも冷徹な雰囲気がそそる。
「誰にでも秘密がある」ではそれこそ甘ーい笑顔で女の子にモテまくりだったのが、こちらは一転、誰に対してもにこりともしない無愛想ぶり。
そんな彼だからこそボスからも絶大な信頼を得て、大事な愛人を三日間監視してくれと頼まれる。
が。
・・・・正直、愛人ヒス(シン・ミナ)のどこが良いのか分からない。当たり前だけど観る人によって好みがあるからな。
いや、いっそ「普通の女性」だからこそ、惹かれるものがあったのか。ことさら良い人間とも描かれていないだけに違和感があるけど、「愛を知らない人」から見れば、それも眩しかったのか。
あの時のヒスの取り乱す具合が好き。それまでつんと毅然とした態度で堂々とソヌとも会話していたのに、何の取り柄もないような若い男のためにこんなに涙を流して暴れるなんて、とビョンホンさんはショックを受ける。
この程度のことなら、私なんか普通にあぁそうだよねぇなんていっちょ前に頷くんだけど、ソヌにとってそういう「愛」を目の前にした激情は、おそらく未体験。
得体の知れない感情ほど、怖いものはない。
そして怖いからこそ惹かれる。
あの時、ボスへの忠誠心やたぶん僅かな嫉妬、そんなものと葛藤しながら、その中でこの新鮮な感動みたいなものに、抗えなかったんだろうなぁと。
中盤からはそれまでのクールな演技が一変して、仲間にとっ捕まって拷問されるんだけど、激痛の中でも諦めない、初めて立たされる弱者の立場でも絶望しないソヌの強さがいい。

この仲間にいたぶられるところがねぇ・・・。
ソヌとはまったく逆の、常に卑屈になったり空威張りすることでしか自分を保てない奴らなもんだから、虐め方がいやらしい。
殴ったり潰したり埋めたり、やること決まってるんだから淡々とやりゃぁいいのにねちねちとソヌを笑いものにしたり。
でも、そんな奴らだからこそ、慢心して隙を見せちゃって、情勢が逆転して、っていう流れは観ていて楽しい。
一人でそこまですんのかーーとも正直思うけど、鬼気迫るビョンホンさんの表情が色気たっぷりで素敵・・・(馬鹿
「何でこうなったんだろう」「何でボスは俺をこんな目に遭わせるんだろう」と悩む姿が痛々しい。
そういう「愛」に関する感情の揺らぎは、あのソヌ以上に冷徹なボスの方が知ってるんだよね。
だから、ソヌの中に今まであり得なかった何かを見て、怖くなったのかなとか。
「愛」のために、「愛」のせいで人は変わる。たぶん、ボスはソヌが忠実な自分の犬以外のものになるのが嫌だったんだろう。
終盤はいろんなキャラがごちゃ混ぜになって登場するんだけど、それぞれ本当に個性が強くてここら辺は楽しい。
常に口数少なくて控え目なソヌと対照的。馬鹿ばっかり。
で、あのラストまで一直線なわけですが。
あの「夢見る」終わりはねぇ・・・・好きだ。うん。
「憧れ」なんて知らなかっただろうソヌが思い描く笑顔にこそ、「甘い人生」がある。
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