製作年 2011年
製作国 米
原題 UNKNOWN
時間 113分
監督 ジャウム・コレット=セラ

今度はドイツか・・・・。
「エスター」を作った監督さんなので、思い切り期待して観てしまった。
や、面白かった。
ダイアン・クルーガーがとっても可愛らしい。「96時間」を観たせいだと思うんだけど、リーアム・ニーソン若い女の子との絡みが違和感なくていいわー。
「Who am I?」
この一言に尽きる。
結局、自分は誰だったのか。
裏の裏をかく真相が面白い。
単純にリーアムさんの「正体」が分かるだけじゃなくて、その背景にあるもっと大きな事情が違和感なく楽しめる。
「カロコルタス・アルブス」と「ウンベルラリア・カリフォルニカ」。
何かの呪文にしか聞こえないこの植物の名前がでっかいヒントだったんだけど、ラストまで分からなかった orz
「革命的なトウモロコシ」がもたらす利害関係。それにリーアムさんがどう関わっていたか、まさかこんな形とは思わなくてびっくり。
何かとピンチを回避するリーアムさん、やっぱり絶体絶命にならないもどかしさはセガールと同じ感じだけど、まぁいいか・・・・。
身ぐるみはがされて身分証もないのに何故か金に困らないとか、あれだけふらふらしていたのに救急車に逃げ込んだ後はあっさり元気になっているとか、いくら 自分を最初に乗せたタクシーの運転手だからってジーナ(ダイアン・クルーガー)にしれっと「泊めてくれないか」と頼むとか、色々と違和感はある。
都合良く逃げた先にいるジーナの仲間とか、落下する前にうまいこと転げ落ちるトランクとか、これだけ近い位置にいるのにリーアムさんに気がつかない殺し屋 とか(こいつがビョンホンさんに似ていたのでちょっと嬉しかった)、はらはらすると言うよりいっそ「そうだねぇ」と頷いてしまうくらいおかしいっちゃぁお かしいんだけどね。
でもそんなご都合主義も、リーアムさんの常に困り気味に眉を下げた表情で走り回る姿のおかげで許せる。私は。
一生懸命、ひたすら「自分は誰なのか」というアイデンティティを求めて、やれることは全部やるという諦めないとこがいいんだよね。
もっと自暴自棄になってもいいんじゃないかとは思うんだけど、その真っ直ぐな姿が、「正体」が分かった時の衝撃と共に理解出来てしまう感じ。
ラスト、「お前の殺し方は忘れてないぞ」という言葉の後の表情。正に「超一流の殺し屋」としてのプライドが蘇ったような凄惨さがいい。いきなりキレを増すアクションもいい。
中盤に、(その時はまだ)敵から逃げるカーチェイスのシーンがあるんだけど、何分も続くこの場面がスピード感溢れてて見応えばっちり。
助手席に座っているジーナが可哀相なくらい荒っぽいんだけど、ひたすら疾走するだけじゃなくて、街中をぶんぶんハンドル切りながら突っ走る。リーアムさんの必死な顔が何ともリアル。
後半に出てくる写真展に来る妻を見張るシーン、ジーナは入口に貼りつかせておいて自分は屋台であったかいおやつ(?)を食べるシーンはとっても可愛いよリーアムさん。
あと、ユルゲン(ブルーノ・ガンツ)がね、もう最高の「老スパイ」と敬礼したくなるくらいしぶくてかっこ良かった。
そんなラストを選ぶなんて、秘密警察にいた過去がこれほど活きるなんて、哀しいような素晴らしいような。
この「老獪」さでもっと活躍して欲しかったと心から思う。
ロドニー(フランク・ランジェラ)と対峙するシーンは、リーアムさん達の慌ただしさとは切り離されたような静かなスリルがあって、お気に入り。
ロドニーさんの、常に落ち着き払った様子もリーアムさんと対照的でいい。
天涯孤独に生きるジーンの悲惨さがもっとあれば感情移入出来たかもしれないけど、せいぜいボロアパートに住んでて色んな仕事を掛け持ちしているくらいしか事情が出ないし、家族が悪い組織に殺された過去もおぼろげだから、巻き込まれ形のキャラとしてはちょっと薄い。
タクシーの運転手、という設定はいいんだけど、勿体ないなぁ。
リーアム兄さんともっと濃い絡み方をして欲しかった。いや、別にベッドシーンとかじゃなくて、感情のつながりが見えるような。
・・・・・しかし、リーアム・ニーソン、悪い役は無理なのねぇ。
そのラスト、予想通りと言えばそうなんだけど、「過去」の清算はどうなったんだ。いや、そのまま続いてるのか?いいのかジーナ。
「96時間」と違い、「正体」が分かるまではひたすら一般人としてまったく違和感のないリーアムさんの演技が楽しい。
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